青い春

暑かった夏も過ぎた初秋。

28歳の男が一人で映画館へ。

クレヨンしんちゃんを見に行った。

 

『謎メキ!花の天カス学園』

 

歴代最高傑作と評判で

ずっと気にはなっていた。

夏休み期間中は混んでいて、

おっさん一人で行くのはと躊躇していた。

 

案の定、親子連れが多かった。

だいぶ早く着いたけど恥ずかしくて

開場しても少し待って入った。

 

思えば最後にクレヨンしんちゃん

映画館へ見に行ったのはいつだろう。

 

多分、中学二年生の時だった気がする。

14歳。思春期真っ只中。

部活のサッカーに夢中の日々。

 

クレヨンしんちゃんが見たくて

練習が終わった後、

友達を誘って10人位で

お揃いのジャージで映画を見た。

 

親子連れか小学生の中に中学二年生には見えない

ガタイのいい連中がいるのは違和感しか無かった。

 

みんなほとんど途中で寝ていた。

言い出しっぺの僕は最後まで見た。

内容は正直覚えていない。

でも、みんなで行ったことは覚えている。

 

あれから倍の年月が過ぎた。

 

大人になってそれぞれの道へ進んだ。

学生時代は頻繁に会っていたけど

仕事が忙しくなるに連れてバラバラに。

 

自分自身も病院で働いていた時は

急患対応の呼び出しもあり何回も誘いを断った。

 

そんな日々も終わり入門してからは

なんとなく連絡しづらくてもっと疎遠になった。

結婚して子どもも産まれた人もいる。

 

みんな何しているかな。

 

始まる前にそんなことを思い返した。

 

センチメンタルになってしまった。

 

予告のドラえもんプリキュアで泣いた。

 

まずい。変なやつだと思われる。

離れた隣の客はスーツ姿の女性。

良かった。バレていない。

 

本編が始まる。

冒頭の1週間家を離れるしんのすけ

みさえがぎゅっと抱きしめるシーン。

 

泣いた。また泣いてしまった。

始まって3分くらいしか経ってないのに。

おっさんが一人で泣くなんて絵面が悪過ぎる。

 

隣の女性も泣いていた。

良かった。一人じゃない。

 

そして物語も終盤、大盛り上がりの展開。

 

みさえとひろしの言葉に号泣。

手ぬぐいが涙で濡れていく。

 

周りからはすすり泣く音も聞こえる。

ふと隣の女性を見ると、僕より号泣。

ちょっと涙が引っ込んだ。

 

映画は終演したけど

余韻でその場から動けず最後の方に出る。

 

隣の号泣女性はすぐに出ていった。

多分このあと仕事だろう。

頑張ってくださいと心の中でエールを送った。

 

小雨が降っていたけど、

エンドロールに流れた主題歌を聴きながら

家まで歩いて帰った。

 

 

笑えもん

 

 


【7月30日(金)公開】『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』主題歌:マカロニえんぴつ「はしりがき」スペシャルMV - YouTube